宇宙法研究ノートについてAbout space law notebook

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ご挨拶Greetings

 「宇宙法に関心はあるけどなかなか資料にアクセスできない・・」「勉強の仕方が分からない」「宇宙法模擬裁判って何?」という学生さんを対象に宇宙法研究ノートを開設しました。  

 宇宙法を勉強する難しさの理由は、宇宙技術が先行し法規制が後から追いつくように確立する傾向と、宇宙技術の有する『軍民両用(=平和利用にも軍事利用にも両用できる)』の性質にあります。1960-1970年代に国連で宇宙関連諸条約が相次いで成立したのち、宇宙技術は国家の安全保障に直結するとの認識が深まると、1980年代から自国の宇宙活動を規制するような国際条約は合意に至るのが難しくなりました。そもそも宇宙空間の平和利用と軍事利用とに分けて2つの委員会で交渉されており、前者は国連・宇宙空間平和利用委員会(UNCOPUOS)、後者は国連機関ではない軍縮会議・宇宙空間軍拡競争防止アドホック委員会(CDPAROS Committe:※委員会としては1994年で終了)で法的議論がなされてきました。

 また、宇宙活動に深く関わりのある国際機関がいくつも存在します。たとえば国際通信連合(ITU)は衛星通信の法規制を担当し、国際民間航空機関(ICAO)は宇宙航行の法規制に関する検討を進めています。もちろん米国をはじめとする宇宙先進国の国内法も国際慣習法を形成する淵源として重要です。

 この複雑性に加え、UNCOPUOSで採用されているコンセンサス方式(=全会一致)が新たな条約成立の支障となり、現在はガイドライン・行動規範(Code of Conduct)・信頼醸成措置といった拘束力のない規範が宇宙空間の安全保障に関連した文脈で検討・実行されています。そのほか輸出管理法、大量破壊兵器の運搬手段となるミサイル/ロケットの輸出に関する国連安保理決議・・・・国際裁判の判例がないまま発展してきた点も勉強が難しいかもしれません。

 しかし宇宙空間の平和利用(peaceful)・軍事利用(milirary)・民生利用(civil)はますます加速し、宇宙先進国だけでなく宇宙ユーザー国が増加するなか、国際宇宙法の重要性が増しているのは確かです。

 このspace law notebookがみなさんの国際宇宙法研究の一助となりましたら幸いです。

2013年11月11日 高屋 拝

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