授業に対する質問・コメントQeustion and Comments
第15回授業15th
C. 信頼醸成措置や責任ある行動決議等、多国間での規範やルール作りが求められているのは疑いようがない。国連が戦時に機能しづらいということはずっと言われてきたことであるが、宇宙空間においてもそうなってしまうのではないかと不安を抱く。平時を維持するために戦時の話を進めておくのがより適切な平時の使い方ではないかと思う。平和を欲さば、戦への備えをせよ。ではないですが、敬遠していてはならないだろう。
15回という少ない講義の中、貴重なお話の数々ありがとうございました!資料は見やすいですし、解説も丁寧でしたので楽しんで受講できました。ありがとうございました!
A. 講義お疲れさまでした!私も博士課程に進むにあたり、宇宙空間の平和利用について研究するはずなのに、いつのまにか軍事利用のことばかり研究することになり・・嫌になったことがあります(笑)。他の人に「何について勉強してるの?」と訊かれて「宇宙空間の軍事利用」と答えると、なんだか戦争好きみたいに誤解されそうになったこともあります!ですが、軍事と平和って表裏一体なんですよね。両方を知らないと、両側にいる人たちを話し合えない・・。毎回の講義を通じていろいろと考えてくださりありがとうございました。
C. これまで紹介のあったSecure World Foundationの資料、CSISのSPACE THREAT ASSESSMENT、内閣府の宇宙政策資料、2019年までのSpace Security Index年次報告書などの資料を再確認できて良かったです。また、国連COPUOS、ジュネーブ軍縮会議(CD)、国連総会第1委員会・国連軍縮委員会・国連軍縮部、Open-ended Working Groupなど規範形成の併行関係も復習できました。
仕事柄、早く予習しなければと思っていた分野でしたので、今後の研鑽のきっかけとして大変有意義な知見を得る事ができました。HPでの公開方式は、自身の復習だけでなく他学生の着眼点なども知る事ができ、横断的な知見共有の場として参考になりました。ご多忙の中、充実した講義や質疑対応ありがとうございました。
A. こちらこそありがとうございました!「この点はしっかり勉強しましょう」と言っても、どうやって「しっかり」調べらたら良いのか悩みますよね。もちろん現在はネット上の論文や国連決議もアクセスできるのですが、短い期間の講義ですし、本講義では「最初に一歩」となる資料(情報源)をお伝えしたかったので・・少しでもお役に立てたのでしたら幸いです。
C. 授業中の質問に関連して出てきた「EUの説明の仕方はうまいが日本の場合は言葉からして雑」という評価は、宇宙関連にとどまらず政府による発信全般に言えるなあと感じます。このあたりは政府自身の問題だけでなくて下手に政府が発信のための努力をしたら「政府によるプロパガンダを許さない!」「国民を扇動しようとしている!」という人達がいる(しかも、そういう人達がメディア関係者に多い)のも大きいですが、ウクライナ侵攻での敵味方の宣伝戦とか認知戦というべき活動を見てると、そろそろ本気で考えんとダメだなあと感じました。
A. コメントありがとうございます。そうですね、国連COPUOSにおいて宇宙安全保障の話をしてしまう辺り(2019年)、日本は言葉の定義をしっかり押さえずに使ってしまう傾向が危惧されます。1967年宇宙条約第2条が禁止する「appropriation」も「領有・専有・占有」などいろいろと訳されるため、「所有権がないにもかかわらず、あたかも自分の所有物かのように“利用”する」というニュアンスが欠けていたりしますし・・。英訳にした場合、どうなるか・・という意識をもって日本語の文書を作成されると、より明確な情報が発信できそうですね。
Q. 授業のまとめでの「国連は国際人道法の適用よりも軍縮・軍備管理にとどめたいと思っている」ということを聞いて思ったんですが、過去の国際人道法は全部事後的=なにがしか問題が起こってから条約等が定められていたのに対し、宇宙法関連は実際に問題が発生する前(RPO等があるので完全に前とは言えないですが)から規制をかけようとしているという点であまり例がないような気がします。…あくまで私の知識ではほかに思いつかないだけなので本当にそうかは解りませんが。
A. ご質問ありがとうございます。これには幾つか原因があります。一度宇宙に配備した物体を回収するのはほぼ不可能という宇宙空間の特性、意思決定過程におけるコンセンサス方式の採用、宇宙活動国の少なさ、宇宙技術の軍民両方性・・などですね。ただ、宇宙空間の軍事利用に関してはMILAMOSやWOOMERAといった国際法マニュアルができていますので、研究は進んでいます。また、国連OEWGの報告書にもぜひ注目していきましょう!