授業に対する質問・コメントQeustion and Comments

第1回授業1st

Question / Comments Answer
Q. (宇宙法模擬裁判)
アジア太平洋地域予選には
参加できるのですか?
A. 参加できます!1月末に登録をしましょう。11月に入ったら具体的な手続きを説明します。いま3回生の学生さんや、来年の世界決勝まで(10月)学生であれば参加できます。ちなみに5月の地域予選はインドネシアで開催され、世界決勝はイスラエルです。旅費に関する奨学金などの情報はのちほど授業でお知らせします。
Q. 教科書は全部和訳した方が
いいのでしょうか。
それとも大体の内容の理解だけで
よいのでしょうか。
A. 時間的な制限もあるかと思いますので、1パラで一番重要な文を探して、全体像の把握を試みましょう。一般的には、(1)パラ最初の文 (2)パラ最後の文(”Thus”のあとなど) (3)"however”の直後の文、である可能性が高いです。ですが、まだ宇宙法の専門用語に慣れていないと思いますので、全訳しなくて大丈夫です(模擬裁判の問題文の方は今後全訳していきます)。
C. 民間団体の違法行為に対する法規制
などに関心があります。
A. 宇宙法にいつも課題を呈するのが、民間企業による宇宙ビジネスです。いろいろな事例を紹介できるように準備したく思います。
Q. 宇宙分野でのキャリア形成は
(学生時代の)就職活動の時から
考えられていたのでしょうか?
A. いえ、もともと就職を2年くらいして社会人経験を積んだら、何かしらの分野で留学したいと考えていました。仕事がたまたま宇宙で、しかも面白く感じた、というのがきっかけです。漠然と、「国連で働きたい」という気持ちはありました(今もですが)。博士号の必要性を強く感じたのは国連でのインターンシップの経験からです。
C. 国際法の基本も取り入れてほしい。 A. はい、宇宙法の特殊な点について話すときなど、一般国際法の基礎知識についてもお話したいと思います。
C. (語学力を含め)
授業についていけるか
心配です。
A. 難しく感じるようになったら、ぜひ教えてください。専門用語は多いですが、楽しく勉強するのがモットーなので、私も工夫していきたいと思います。日本語の宇宙条約集はこちらを参考にしてみてくださいね。
C. 法の観点から宇宙活動を知り
面白そうだと思いました。
A. ありがとうございます。なかなか宇宙活動が普通の生活にどう役立っているのか、実感がわかないものです。今日は衛星を使ったマラリア対策やオランウータンの生態管理の話をしましたが、宇宙法を通じて宇宙活動の面白さが伝われば、私も嬉しいです。
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第2回授業2nd

Question / Comments Answer
Q. 将来的に気軽に宇宙へ
行けるように なったら、
宇宙に関わる利益問題は増え、
法や条約で対処しきれなくなるのでは?
A. た、確かに・・。多くの国が宇宙航空機で宇宙旅行ビジネスを展開する時代になったら、国家を主体とする従来の条約のほかに、民間企業など事業者を対象とする国際規制(regulation)が整備・強化される必要が生じます。とくに事業における安全性確保を目的とする規制やガイドラインなどです。宇宙輸送における安全性については国際民間航空機関(ICAO)も検討を進めています。
C. 前期に国際機構法で南極条約を
勉強したので宇宙にでるとどうなる
のだろうと思い、授業を取りました。
A. 南極条約も面白いですよね!どの国家にも属さない「国際公域」にどんな法原則が適用されるのか・・・、宇宙法と同じく、「平和利用」の定義や「軍事利用の禁止」についていろいろ考えさせられます。
C. 英語が苦手ですが、頑張ります!

A. ありがとうございます!英語は本当に難しいですよね・・。語学はツールに過ぎないので、まずは好きなことを英語で調べてみる、というのがおすすめです。料理が好きなら海外の料理本を読んでみたり、youtubeで料理番組を見たりする、といった具合です。釣りでも映画のメーキングもyoutubeにあります。今度授業で「発音のコツ」を特集してみますね。

C. 他の授業で法律と経済学の関係を
勉強しているので、賠償責任の部分は
面白そうだと思いました。
巨大リスクを誰に負担させるか
という点は 原子力発電に似ていますが、
国家間の交渉という点を考えると、
独特の分析ができそうです。
A. なるほど、素晴らしい視点です。ぜひ調べてみてください!とても重要なテーマです。実際に賠償責任の問題まで発展した宇宙事故の事例は極端に少ないですが、地上での活動と比較して検討するのはとても面白いと思います。宇宙活動でも、宇宙のかなた(深宇宙=Deep Space)を探査する際、原子力電池を搭載する衛星があります。打上げ時点の失敗でもし地上に落ちたら、大規模な汚染事故が起こります。ちなみに、このテーマに関連する「コスモス954号事件」については来週授業でお話したいと思います。
C. Youtubeで宇宙飛行士の番組
(現地レポート)を見てみようと
思います。
A. 今日授業でご紹介したNASAの「Space to Ground」は英語の勉強にもなりますので、ぜひyoutubeで楽しんでくださいね。(毎日は発信されていませんでした。すみません。)他にも面白い番組が見つかりましたら授業でご紹介しますね。

C. こんなプログラムがあるのなら
もう2-3年学生をしてみたかったという
感があります。

A. も、もしかして・・宇宙が好きになってきました??宇宙に関する教育イベントなど、授業やHPでお知らせしていきますね。きっと社会人になってからも勉強する機会はたくさんあると思います。私も社会人1-2年のころは、休みの日に勉強会や学会に参加して「いいな〜学生さん・・」と思いましたが、”仕事をすると勉強の良さがわかり、勉強すると仕事の良さが分かり・・”という感じでした。もし社会人になってから大学院に進学や留学など考え始めたら、ぜひご連絡くださいね。
C. 宇宙条約第12条の内容は、
条約に対して自分が抱いている
イメージと近くて面白かったです。
A. ありがとうございます!第12条にある「相互主義」(”on a basis of reciprocity”)が実は義務履行において抜け道(穴?)となり得る、という話をしましたが、条約(とくに多国間条約)にはこのような表現や解釈方法がいくつがあります。勉強するには面白いのですが、実際に条約について交渉する立場になったら注意してみましょう。
C. 公海の上空での損害事故の場合は
やはり発射した方の国家が責任を負う
のは 勉強になりました。
A. 公海の海面からの打上げに加え、公海の空域からの打上げが計画されています。いろいろ実際の衛星打上げ計画を見ると面白いですし、関心させられます!打上げ国がどこまで賠償責任を負うのか、来週の授業テーマですので、米国企業の「SeaLaunch社」や空中発射のケースなどもご紹介しますね。
Q. 宇宙法において多くの
諸原則があることに驚きました。
質問ですが
宇宙法原則はソフトローですか?
ハードローですか?

A. 確かに「宇宙法原則」って、分かるようでわからない表現ですね。英語ですと「Space Law and Principles」となるわけですが、このPrincipleが、宇宙条約の条文それぞれを指すのであれば、法的拘束力があるのでハードローといえますが・・一般国際法の観点からは誤解を生じそうです。簡単な表現でいえば、宇宙法を構成する諸条約はハードローですが、宇宙活動に関する宣言・ガイドライン・行動規範(code of conduct)はソフトローになります。この点、12月10日の授業でよく説明するようにしますね。

Q. 日本語文献でお勧めの参考書が
ありましたら教えてください。
A. シラバスでは次の文献をお勧めしています。
青木節子『日本の宇宙戦略』(慶應義塾大学出版会、2006年)他にも国際法の図書でよく説明されているものがあるので、授業で紹介しますね。第1回授業で配布した「授業日程表」の2ページ目もどうぞご参照ください。
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第3回授業3rd

Question / Comments Answer
C. だんだんと内容が難しくなってきて
少し困惑しています。
予習と復習をしっかりしないと
いけないなと感じています。
A. ご安心ください!今日の宇宙損害責任条約が一番難しい内容です。今後も何度か出てきますので、その都度ゆっくり説明しますね。今日はいろいろな事例を混ぜてしまったので、次からはもっと明確な説明を心がけたく思います!(シラバスの文字も大きくしますね。)
Q. 責任免除の具体例はありますか? 宇宙損害責任条約を適用しての解決例自体がないため、責任免除の具体例は残念ながらありません。一方で、国際宇宙ステーションの政府間協定(Inter-Governmental Agreement)では、請求権をはじめから放棄する条項(Cross-Waiver条項)が盛り込まれたりしています。11月12日の授業で紹介しますね。
Q. 全額賠償原則の例外では@自国民と
A打上げに参画・もしくは招待されて
いる外国人は請求できないと
ということですか。
それとも賠償が保障されて
いないのですか?
A. この第7条、誤解を生じやすいですよね。説明が足りずすみませんでした。国民は自国の政府に対して賠償を請求できますし、外国人もホスト国に請求できます。ただ、その場合国内法で十分対応できるため、国家間で生じた損害を対象とする本条約からは、適用外となるわけです。
C. 宇宙の損害賠償問題の初めての
判例が日本と知って驚きました。
国際法の授業で聞いたことが
なかったので(覚えていないだけ
かもしれませんが・・)新鮮でした。
A. ほんと、私もびっくりしました。・・おおっと、1点確認させてください。「判例」とは国際裁判(ICJなど)の先例(判決・判断)をいいますが、宇宙法には国際裁判がないため判例はなく・・・。宇宙賠償責任条約ができる前に、日本政府の代表者が「貨物船がシベリア沖で宇宙物体の破片で損害を被った」と宇宙平和利用委員会の法律小委員会に報告した、と書いてあります。(教材35ページ)これを契機に条約の起草が進んだわけですが、あくまで「事例」です。ですが「a perfect test-case」なんて書いてあると、誤解を生じやすいですよね。
C. 事故が起こればさまざまな国が
絡むだけに、想定をどこまで
するのかも難しいと思いました。
(国内法が適用されるのでしょうか)

A. 本当ですね。宇宙活動におけるパートナー国間では、政府間協定や覚書(MoU: Memorandum of Understandings)といった多くの文書が交わされますし、実際には私企業間の契約もあるため、事故が起こった場合にすぐに被害者を救済できるかどうか、課題も多いです。国内法で済む範囲(自国民の救済など)は国内法が適用されます。

C. (11月末の)ワークショップ
面白そうなのでHP見て
みようと思います。
A. ぜひ!Space Generation Workshopといって、APRSAF(アジア太平洋宇宙機関会議)という国際会議のサイドイベントになります。私もspeakerとして参加するので、参加を決められたらメールをください。登録方法がわからないですよね・・。主催者に聞いてみます。→参加登録のサイトに不具合が生じているようです。参加を希望される方は私の方までメールください。
C. チョークが薄いので、もう少し
濃く書いて欲しいです。
A. 了解しました!本当ですよね・・次回改善を試みます!また気が付いたことがありましたらぜひ教えてください。
C. 宇宙における損害賠償と民法に
おける損害賠償の扱いが違って
国外と国内の法の違いを感じた。
A. 本当ですね。一般国際法の観点からみても、宇宙法は損害賠償ので大きく異なります。模擬裁判の問題を使ってより理解が深まるよう説明を工夫していきますね。
C. 損害賠償請求に関して
請求委員会の決定は同意がなくても
コメンタリーにはなるのか
それとも無視できるものなのか
疑問に思いました。
A. 請求委員会がいまだ設置されたことがないため、国家実行が集積されていませんが、第19条2項によりますと、同意がない場合の裁定は勧告的意見になるものの「両国は誠実に考慮すること」が求められています。確かに法的拘束力はありませんが、さすがに完全に無視、というのは批判が生じるかもしれません・・。
C. 損害賠償請求に関してですが
被害調査に軍用機を使用するため支援の
受入を断るケースがあるようですが
泣き寝入りにすることになると思うので
今後どのように解決しようという流れに
なっているか知りたいです。

A. ありがとうございます。一般論として、地上での自然災害における海外援助を断る際、その理由の一つに海外の軍用機(もしくは軍)を自国に持ち込んでほしくない、という事情があるとお話しました。一方、教材を見る限り、コスモス965事件の際にカナダが旧ソ連の現地調査支援を断った、という理由が明記されていないので、はっきりとした理由は分かりません(教材には宇宙救助変換協定の適用をロシアは主張した、とありましたね)。私の引用から紛らわしかったですね。すみません。

さて、泣き寝入り・・本当ですね。泣き寝入りする国を少なくするために、国連登記簿というものに宇宙物体を登録する制度があります。来週の授業「宇宙物体登録条約」で説明しますね!

Q. 宇宙に関する有名な映画は
どういったものがありますか?
A. 今日はアポロ13号を短い時間で紹介しましたが、記憶に新しいものでは「ゼロ・グラビティー(無重力)」という3D映画がありました。宇宙を題材にした映画はたくさんあるのですが(エイリアンなど)、リアルに衛星による諜報活動を感じるものに「エネミーオブアメリカ」というものもありました。たくさんありますので、今度授業でみんなに質問してみたく思います!
Q. 宇宙損害責任は国家対国家ですから
手続きの時間も遅いと思います。
かつ賠償金は国家に対して
支払いますから、損害を受ける個人が
賠償金をいくらもらえるのかという
疑問があります。
A. 確かに個人に賠償金が支払われるまで、どれほどの時間がかかるのか、というのは宇宙活動国にとって重要な課題ですね。請求国に賠償金が支払われた後は、その国の国内法の話になってきます。宇宙活動国の中にはしっかりとした法制度を備えている国もありますので、この観点から調べると面白いかと思います。
Q. 個人が賠償金の支払を待っている間に
もし損害が拡大したらその部分の賠償は
どうなりますか?
最初の賠償金に含まれますか?
A. 教材でも「間接損害」のことに触れていましたね。因果関係などをどう評価するのか、その基準がないと著者は批判していました。宇宙損害責任条約の解釈の問題になり、ケースバイケースで検討される点かと思います。模擬裁判でもこの論点がよく議論されます。
C. 賠償についての保険はどうなって
いるのでしょうか?
例えば原発では原賠法で保険加入が
義務付けられているようですが
宇宙活動についても同様に
保険を強制する可能性はありますか。

A. はい!宇宙保険というものがあります。確か東京海上火災も扱っていたかと思います。商業打上げ活動で宇宙保険に入ることを義務付ける国内法もあり、特に第3者損害賠償の観点で必要と考えられています。12月17日から宇宙の商業利用について授業で扱いますが、もう少し早い談かいで宇宙保険の概要を説明したく思います。

C. 英語が苦手ですが頑張ります。

A. ・・分かります・・英語は・・・1文がやたら長いと・・・気が遠くなることがあるかと思います。教材でも長い文が多く見受けられます。そんな時は、いわゆる「主節」を探してみてください。対語の「従属節」というのはWhen, Where, thatのあとの文ですね。それらは一旦無視して・・・見つけた主節はマーカーで色づけをしたりして、一番大事なメッセージを浮き彫りにしてみましょう。こうして概要がわかると面白くなってきます!そのうち「主節」が楽に見つけられるようになれば、英語の上達を実感できるかと思います。

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第4回授業4th

【先週、模擬裁判の問題文の和訳をみなさんにお願いしました】

Question / Comments Answer
C. 模擬裁判の訳は一文が長すぎて
どう訳していいのか
迷ってしまいました。
A. とても訳しづらい問題でしたね。ときには1文を、2文や3文に分けてもいいかもしれません。お疲れさまでした!
Q. ある登録国から出た、または
外れた部品が宇宙に浮遊していたら
やはりその登録国の責任に
なるのですか?

A. 部品がただ浮遊していること自体には責任は生じないですが、それが他の国に損害を生じた場合に(賠償)責任が生じます。一方、事故は生じていないものの「危ないから君のところの部品、なんとかしてくれよ~」といった要請に応じる必要のあるのは、その部品に対して管轄権・管理権を持つ登録国ですね。

「ねじ」や「ペンキのはがれ」といったものまで宇宙物体に入るのか・・という議論は宇宙物体登録条約の起草過程およびその後も長く議論されているところです。一時は「ねじ」までも登録国の刻印を押すべきだ(特定するために)という主張まで出ていました。

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