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はじめにA few words

大学生にとって12月とは卒業論文や修士論文の提出期限まであと1-2か月・・・という、ある意味緊迫した月ではないでしょうか。もちろん博士論文に取りかかっている学生さんにとっても冬休みは重要で、まとまった時間を執筆に集中できる良い時期かと思います。

これまで自分のテーマに関係する論文や資料を集め、自分の論文の構想がまとまり、目次もできあがり・・・さていざ執筆だ!という時に、もしかしたらピタっと手が止まることがあるかもしれません。「簡単に書けそうなのに文章が思いつかない」「書いても書いても、思うような表現ができない」・・・。原因が分からないと何日も悩んではいけません。それは「自分が読んで理解する」作業と「他人が読んで理解できる文章を書く」作業とがまったく異なるものだからです。

私の博士論文の指導教官はパリ第11大学のフィリップ・アキリアス教授ですが、彼はいろいろな留学生に指導する際、とても丁寧に「フランス型の論文の書き方」を教えてくれました。論文には「型」があり、全体のバランス(=美しさ)が大切です。そして各章・各節の最初と最後にはかならず「小さな序文」と「小さな結論」を欠かさない。最後の章・節に自分の主張があるのだから、それに向かって読み手を導いていくように。目次に選ぶ言葉一つにも、響きの美しさを心がけるように・・と、論文の執筆には「読み手」という存在を大切にするよう教わった気がします。

卒業論文、修士論文、博士論文には、それぞれ求められるレベルがあるかと思いますが、執筆作業には共通点が多くあります。資料収集、読み込み、資料整理、目次作成、執筆・・。一方、日本の大学(特に法学部)ではなかなか「論文の書き方」を指導する授業がないように思われます。日本人の先生にかつて論文の書き方について尋ねた際、「自分で確立するものだ」「いい論文から学ぶように」「センスを磨きなさい」と抽象的な助言を頂きました。大学によっては先輩から教わる学生も多いのではないでしょうか。本屋でも、理系や政治学などは多いのですが、法学部の学生を対象とした「論文の書き方」本はなかなか見つかりません。しかし、欧米の大学生にとって論文の書き方や論証の仕方は「技術・技巧(technique)」であって、悩むものではありません。早くその技術を取得すれば、あとは書くのみです。

私も論文執筆には苦労しているので偉そうなことは言えないのですが、このHPを通じ、これまで学んできた方法をお伝えしたく思います。研究と論文執筆は大変な作業ですが、知的探求とは本来楽しいものです。一人でも楽しめる作業ですし、社会への貢献度も高い作業です。楽しい日々を学友と過ごしながら、ぜひ論文を仕上げてください。

(※各ページは随時アップしていきます)

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