授業に対する質問・コメントQeustion and Comments

第5回授業5th

Q. 宇宙条約の起草背景の説明の中で、条約(Hard Law)とソフト・ローの解説がありましたが、ソフト・ローは法的拘束力を持たず、ハード・ローも批准した国家に対して法的拘束力を有すのみであれば、どちらを制定するとしても、合意の得られた国家間での規則だということでしょうか?それならば、ソフト・ローの意味付けがやや疑問であり、ハード・ローの制定のみで問題ないのではないでしょうか?もしくは、ソフト・ローの制定からハード・ローの制定へと、ステップアップすることを期待してのソフト・ローの制定なのでしょうか?

A. ご質問ありがとうございます。国際ルールそれぞれの起草背景をみれば、技術的格差(自国で宇宙活動がない)のためコンセンサスに至らなかった規範や、宇宙先進国同士の戦略的な意図のために合意に至らなかったものもあります。ソフト・ローにのなかでも法的性質に濃淡がありますので、内容の方に注視してみてください。なお、ソフト・ローのなかでも、すでに慣習国際法化された規範も含まれる規範もあります。そのうち慣習国際法化するのでは・・と期待できそうな国際規範(宇宙活動における行動規範など)であっても、米国が「これは慣習国際法化するとは認識しない」と明言したものもあります。・・奥が深いですね。

Q. 講義の中で静止衛星のお話がありましたが、静止軌道以遠に地球を周回する衛星を配置する例、もしくは試みは存在するのでしょうか。

A. ご質問ありがとうございます!はい、あります。墓場軌道と称される寿命を終えた衛星が投入される軌道や、地球と太陽のラグランジュポイントの周りにハロー軌道があります。宇宙条約ではorbit around the Earthという表現で一括されています。

Q. 第6条国家責任について、実際的な手続きとして、民間の宇宙事業によって他国に事故が発生した場合、どのような流れや手続きによって被害国に賠償が行われるのでしょうか。

A. 実際には事前に関係国間で契約ベースで手続きに関し事前に取決めをしています。第7回の講義でお話しますが、宇宙法では被害者救済を重視しており、被害者は「打上げ国」のなかで自分が救済を求める(請求する)国を選ぶことができます。

Q. 中国が衛星破壊実験を行ったことで、爆発した衛星が無数のスペースデブリを発生させたことはニュースでも見た記憶があります。地上や海洋以上に人の手を加えることが簡単ではない衛星軌道上で、銃弾よりはるかに早く飛散するスペースデブリをばらまいたことは他国の衛星のみならず、中国の衛星も傷つけるリスクを招くほか、今後の未来における宇宙の利用における危険性を高めたことに他ならないと感じています。これに対し、中国は責任をとる姿勢を示しているのでしょうか?それとも、自由の名のもとに宇宙ゴミや危険なデブリをばらまこうが、他国に口出しされる筋合いはないという姿勢を貫いているのでしょうか。

A. ありがとうございます。2007年の中国によるASAT実験ですね。ABM条約が失効してから初めてのASAT実験でしたので、国際社会へ与える脅威(インパクト)も大きいものでした。すぐに国連宇宙デブリ低減ガイドラインが採択されました。明示的に禁止する条約がないため、「軍事演習」としてASAT実験ですが、国際的な批判はありました。ですが、1960-70年代には米ソがASAT実験を繰り返しおこなったことから、現在ある宇宙デブリの8割が当時発生したものであるため、米ロとしては批判しづらい状況でした。

Q. 侵略的ではない、天体の利用について質問です。今日の静止軌道利用では、軌道の空間的余裕にも限りがあるので、早く設置したひと勝ちのような状況があると思います。いずれ月での開発競争の時代が来たときにも、いい位置はアメリカやロシアが先に「利用」し始めると思うのですが、やはりそうならざるを得ないのでしょうか。

A. 良い視点ですね。はい、国連COPUOSでも静止軌道の利用が「早い者勝ち(First comes, first servedルール)」となっている点、長年発展途上国から批判が上がっています。最近の例では、月の裏側にあるラグランジュポイント2(L2)に衛星を置いている(置く技術がある)国は中国のみです。どうしても技術を有する国が早く国際公域を利用することとなります。

Q. 技術の発展に伴い、逐次法律が整備されていってることが理解できました。スターリンをはじめとしてデュアルユースが進んでいる分野であるとともに、アルテミス計画等、今後の技術の発展が予期される分野なので、今後も新たな技術が生まれ、それに対応する法が整備されていくのだろうと感じました。

A. そうですね。宇宙資源活動に関するアルテミス合意をご紹介する回もありますので、その時にゆっくりご説明したいと思います。何気なく使われている文言であっても、宇宙条約の各原則(条項)と同じ文言を使っていたり、その趣旨目的が反映されていたりしますので、しばし基礎をしっかり理解していきましょう!

第6回授業6th

Q. メガコンステレーションがこれまでの基地局の電波圏外でも高速インターネット環境の維持に役立っていることは、スターリンクなどで実感しているところではありますが、一方デブリの予防や除去を怠るとケスラーシンドローム(デブリ発生の連鎖反応)が発生する可能性が高まるということを理解できました。講義の冒頭には宇宙への兵器の配備に関する安保理決議が否決された過去の紹介や宇宙軍をもつ国家が少ないことも話に挙がりましたが、デブリへの対処に各国の軍隊と民間企業・団体との連携は行われているのでしょうか?

A. 貴重な視点ですね。ご質問ありがとうございます。「デブリへの対応」にはいろいろと段階があります。「デブリ低減」では、ミッション終了後、低軌道であれば大気圏突入をさせるとします。その場合、設計の時点であまり粉々に分解されないような構造にしたりします。静止軌道であれば、衛星の寿命が終わるころ(ミッションが終了するころ)にデオービット(脱軌道)用の燃料を用意する、など。現在、軍がしているデブリへの対応は、宇宙状況把握(Space Situational Awareness: SSA)かと思います。宇宙物体およびデブリが、どこら辺にあるのか情報を提供しています。今回の講義ではASAT実験についてお話しましたが、第12回で宇宙デブリの説明をしますので、その時にまた詳しくご説明させてください!

C. 本日もご講義ありがとうございました。現在の宇宙開発が問題を先送りしながら進行していることを理解しました。今後、民間企業の宇宙ビジネスへの参入がさらに進む中、経済的利益と宇宙環境の保全を調和させていくことが急務であると感じました。

A. コメントをご共有くださりありがとうございます。本当ですね。月資源の探査活動が進む中、ひとまず月へ到着しなくてはならないなか、宇宙デブリのため、地球の低軌道・中軌道・静止軌道を通貨できなくなっては、もはや経済利用も不可能になりますので・・。目先の利益に足らわれず?宇宙活動を展開していってほしいですね。

Q. 事故が発生してしまった際に、損害や過失の割合を計算する調査機関的な存在はあるのでしょうか?また、どんな情報をもとに判定を出すのでしょうか?

A. 厳密にお伝えしますと、国際的な調査機関はありません。SSAを通じた米国のデータはありますが、損害額の算出というミッションを担っているわけではありません。個別のケースに応じて対応するしかないのですが、近年、SSAの能力も向上し、衛星同士もしくはデブリとの衝突がある程度予測できるようになっています。衝突が起きた場合、意図的にぶつかってきたのか(軌道変更があったのか)などが分かるようになっていることは、宇宙損害責任条約における過失の立証において有用そうですね。

Q. 日本では、混信を避けるために総務省が国内で使える電波帯を管理していると思います。防衛省は、総務省にお願いして許可をもらった電波帯を陸海空で奪い合って使っています。一方で、宇宙空間には他国の衛星が無数にあって、日本の国内事情とは無関係に好きな電波を使っていると想像します。今後、衛星同士の電波干渉や、地上との干渉が起こることを防止するために、宇宙空間における電波帯の住み分けやルールは話し合われるのでしょうか。

A. ご質問ありがとうございます。仰る通り、日本では総務省が窓口となり、国際電気通信連合(ITU)へ周波数取得の申請をしております。他の国でもITUへ申請する窓口はそれぞれありまして、ITUが周波数および静止軌道のスロットの割り当て(国際規制)を司っております。第13回の講義はITUとサイバーセキュリティの説明を致します!いろいろ議論致しましょう。

ページトップへ戻る

Site Menu

Copyright (c) 2013 Yuri TAKAYA All Rights Reserved.