授業に対する質問・コメントQeustion and Comments

第9回授業9th

C. アルテミス合意が複数のプロジェクトを包含している大きな合意であることは知らなかったので新鮮だった。確かに、宇宙開発の国際合意であって様々な計画に派生していくことが見込まれるものであるので納得しました。
そして、将来的に宇宙空間での活動者が増えていくことが予想されるなかで、「宇宙飛行士」や「宇宙飛行関係者」という名前は無くなるのではないかと思います。現在でも「宇宙飛行士」とは何か、どのような人であるのか世界に共通する規定や定義ないようです。皆がロケットに乗って星間を飛行するようになれば「宇宙を飛行する者」は特別ではなくなり、新しい人種すら生まれていくのかもしれないと夢想しました。

A. コメントをありがとうございます!そうですね、思えば地球も宇宙に浮かんでいるので、「地球人」=「宇宙人」と捉える時代も来るかもしれませんね(笑)。宇宙飛行士の数が増えるにつれ、どこまで国際義務としての救助が求められるのか、具体的な議論が始まっても良い時期ですね。

Q. 月において水資源がある場所をどの国が先に抑えるのかという競争があることや、アルテミス合意で「安全区域」の設定が認められたことなどから事実上の占有が横行しそうな気がします。月協定で想定された資源を分配するメカニズムや制度が作られていない以上、今後月の資源を巡る紛争が起きる可能性は高そうです。分配や調整までとはいかなくても、利害関係国が対話する場というのはあるのでしょうか?

A. 質問をありがとうございます。宇宙条約第9条に基づいた国際協議などは、妥当な考慮の義務違反や有害な干渉などの事態で設けられますが、話し合いだけで紛争解決に至るのか・・疑問を感じられるのも当然かと思います。なお、今月(6月)には国連COPUOSが開催されています。動画でCOPUOSの様子が見れますので、国際協議ではありませんが・・どのように各国が自国の立場を表明していくのかという動画および提出された資料を読み解いてみましょう。https://www.unoosa.org/oosa/en/ourwork/copuos/2024/index.html

C. アルテミス合意における“political commitment”が、政治的合意であって法的合意ではない意味合いを持っている事を認識しました。宇宙関連においてもアメリカ議会上院における条約批准承認を考慮した調整の作法(行政協定など)を理解しておく必要がある事を改めて知る事ができました。

A. コメントをありがとうございます。米国も上院の反対でなかなか国際条約の批准に至らないので・・また、あえて政治的合意とした方が、署名しやすい国が出てきますので・・短期間で多く署名国を増やすには良い手法なのかもしれませんね。

Q. 宇宙資源の定義について、アメリカやUAEが「生物」「生命」を資源から除外しているのは大気圏内の生態系への影響などを懸念した結果だとは理解できるのですが、両国ともわざわざ「水及び鉱物含む」としているのは何か理由があるのでしょうか?日本の開発法のように「天然資源の代表例」的な表記ならわかるのですが、両国の書きぶりだと、水や鉱物は非生物資源に含まれるか解釈が分かれるかのような書き方に見えるのですが。

A. ご質問ありがとうございます。一般的には天然資源というと石油や金銀、小惑星ではレアメタルといったイメージがあるかと思うのですが、月では水(氷)も入るのですよ!という確認の意味合いもあるかと思います。予め余計な論争を回避するためですね。「〜を含む」という表現ですから、今後発見される資源も含めることができますね。なお、宇宙資源には地球軌道も入ります!静止軌道が代表的なものです。

C. アメリカのヤード・ポンド法はもう日常的にはアメリカくらいしか使ってないので、はやいところメートルを採用してほしいものです。米国製兵器だとインチとか持ち出してくるので本当にめんどくさいです。

A. 笑。月でヤード・ポンド法は・・どうなるんでしょうね(笑)。面白い記事がありましたので、紹介しますね。https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/062100338/

C. アルテミス計画が女性や有色人種をクルーに入れようとしていることは、国連の平和維持活動と世界中の他の分野と同様に、多様性を大切にしていると思います。

A. 本当ですね。多様性を意識した宇宙開発、私達の世界観ももっと広がりそうですね。

C. アルテミス計画は、アポロ計画の成果を基にし、さらに野心的な目標を目指すプログラムとも言えるのかと思いました。

A. アルテミス合意の署名国も40か国(2024年5月時点)になりましたが、それぞれが求める国益も異なるのかと思います。米国が主導ではありますが、今回はどちらかというと国際宇宙ステーションから得た経験や教訓を基にしているのかと思います。月や火星を目指す・・という視点が40か国で共有されることで、宇宙デブリへ低減へのインセンティブへと繋がるとよいですね。宇宙の持続可能な探査・利用へと繋がるといいですね。2024年7月11-12日に第6回「宇宙の持続可能性」サミットが開催されます。ご関心がある方は登録されると良いかと思います。

Q. アルテミス計画における国際パートナーシップの役割についてですが、アルテミス計画において日本はどのような役割を果たしていますか? また、クルーの選考プロセスはアルテミス計画に協力している国々に限定されていますか?

A. 日本はアルテミスIやIIなど、その段階において貢献するプロジェクトが異なるようですが、ひとまず月面ローバの提供や宇宙飛行士が月面着陸する点などが挙げられるかと思います。

C. コメントで言及した「アイアン・スカイ」については、月面にナチスがいるといった話はともかくとして、宇宙開発を行っている各国が、実は宇宙ステーションを、隠れて軍事転用できるよう建造しているという、明確な宇宙条約違反を犯していたり、月面資源を巡る争いが最後のオチになっていたりと、思い返せば、本講義の内容に関連するものになっていました。 バカバカしいSFコメディですが、よければ一度御覧ください。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A... 前回、衛星画像の解像度の話がありましたが、どちらかといえば性能秘匿のためにコントロールしていると言うことと、実際はそこまで望ましい画像を得られるわけではない、というのもあるので、一般に思われている以上に、コントロールは難しいものと思われます。

A. コメントをありがとうございます。国際法上の問題をついた作品って結構ありますよね。沈黙の艦隊もその一つでしょうか(笑)。解像度についてですが、プライバシー条約というのもあり、人権保護という観点からリモセンを制限するという法的試みもあります。高解像のデータを戦略的に使うメリットと個人の人権・・なんだかAI規制の議論にも似てきますね。

第10回授業10th

C. 宇宙空間専有禁止原則において天体に財産権を設定する事はできないが、宇宙資源に対してはグレーゾーンとなっていると認識した。ここで、ある天体それ自体を宇宙資源とみなすような主体が生じた場合は財産権をどのように理解すべきなのか。(例:リュウグウを構成するほぼ全ての物質が資源として利用可能であるとした場合など)主体によって消費されてしまうという観点では認められ難いと思料するが、このような想定もあるのか疑問をもった。

A. コメントをありがとうございます!宇宙資源の定義は米国・アラブ首長国連邦(UAE)・日本の国内法でしか定義されていませんが、天体すべてを宇宙資源とした場合・・という想定はとても面白いですね。宇宙資源を枯渇させ、他の国が使えなくしてしまった時点で、呼び方が天体であれ宇宙資源であれ「専有(appropriation)」したことになります。・・それにしても、完全に「消滅」させてしまった場合・・宇宙条約第1条違反と第2条違反の両方になるんですかね?(笑)また、小惑星が地球に向かっている場合、その軌道を変更させたり、核エネルギーで消滅させたり・・という研究分野もあります。Planetary Defenseと言われるものです。宇宙資源が豊富な場合どうなるんでしょうね(笑)。いろいろなケースを想定して考えるとワクワクしますね。

C. 宇宙資源の利用を規律するものは現状各国の国内法です。宇宙法における「専有」の解釈に差があるように、国内法の規定に関しても国によって大きな差異が生じると思います。そのような場合宇宙資源から最大限利益を得たい私企業は規制や監督の緩い国で登録する、便宜置籍船のような便宜登録宇宙船が登場するのではないかと思いました。

A. コメントありがとうございます。またまた・・面白いですね(笑)。ルクセンブルグは宇宙資源ビジネスのハブ的な国になることを目標にしているようですし、UAEなどはかなりビジネスに特化した宇宙資源法を制定しました。iSpace社は日本の宇宙資源開発法に基づき申請し、許可を得て月面探査に乗り込みましたが、確かルクセンブルグにも支社があった気が致します。

C. 宇宙資源の利用/専有の区別の難しさをはじめ課題が山積する中で、国が民間を考慮したルールを作る等、企業の存在感が高まっているのは印象的でした。前航空幕僚長が宇宙ベンチャーに入社したニュースが記憶にあり、民間企業にも組織スケールの大小によって法務能力の差異があるのではないかと想像しました。

A. コメントありがとうございます。民間企業の法務の方も興味深々かと思いますが、近年は弁護士の方がとても関心を持ってくださっています。https://japan-space-law-association.org/ なお、航空自衛隊イベント「宇宙安保とビジネス - 国際連携と民間協力が牽引する宇宙安全保障とビジネス展望 - 」というものがったようです!いろいろな動きがあるんですね!私もぜひ拝聴したかったです・・。https://cic-jasdf0228.peatix.com/?lang=ja

C. 授業中のコメントにも被りますが、海洋の利用に関する法制度の流れを見ていると、「利用」の範囲はどんどん拡大していくんだろうなあと思います。学術研究はともかく、経済的な利益につながる資源は人類全体の財産として共有は流石に無理があるかと。また、今回の授業を聞いて、国家の責任が曖昧なままで企業による宇宙進出が進み月や宇宙空間上のステーション等に居住する人が増えた場合、そこが国家の権力が及ばない植民地に成長し、最終的にはそこで権力を掌握した企業等が地球からの独立を企てる…という宇宙規模でのアメリカ独立戦争みたいなことにならないかな、という妄想が浮かびました。アポロ計画偽物論ですが、ディスカバリーチャンネルでやっていたアメリカの検証番組「MythBusters(邦題は『怪しい伝説』)」で偽物だとする主張をいくつか取り上げて科学的に検証していたのを思い出しました。

A. いろいろと想像してくださりありがとうございます!宇宙空間の利用では各国のビジョンの違いが浮彫になりますよね。もちろん時代毎の国家戦略も異なりますし、宇宙技術アプリケーションも加速的に拡大しているので・・。国際法を遵守しようという姿勢がないと、なかなか国際(法)規範の形成に繋がらないのですが、宇宙デブリ低減を含む「宇宙持続可能性」という概念を基に、宇宙活動における秩序の重要性が浸透してきています。

C. 私はレアメタルやレアアースなどの資源が、ますます成長している技術分野に大きく貢献し、新たな資源の発見も可能性があると考えています。同時に、例として宇宙から地球に運ばれる可能性のあるウイルスなど、いわゆる面で何が問題となるかを真剣に考える必要があるとおっしゃる通りです。また、宇宙から採掘された資源に関連する所有権や所有権問題にどのように対処するか、というテーマも重点を置くべきだと思います。数年後、ある特定の領域が人間の生存に適しているようになった際、宇宙空間占有禁止原則にいかに影響を与えるかも面白い課題であると思います。

A. 確かに面白い課題ですね!とくに月面で居住施設が出来上がり、いざすみ始めればそこには社会もできますし。所有権も各国の国内法における登録がなされるとすれば、その情報共有も重要ですね。国際法がどう「適用」されるのか・・学術的にも面白い課題です。

Q. 中国は海洋関連で、海底地形(海中火山など)に名前を付けて、海底資源の獲得の一助に利用しているのではないか?という疑惑があります。こういった行動は、月面においても確認できる、または、類似の行動(名前を付けたので自分たちのものと主張できる、という考えを反映した行為)を行う可能性はあると思われますか?

A. 確かに!月面上の山や谷の命名を先にすると・・どうなるのでしょう!?いまでもある程度の名称はあるのかと思います。私が知らないだけで・・。月における時間軸をどうするか、何語を標準語とするのか(やはり英語なのか?それとも中国語?)・・宇宙社会学や宇宙倫理学という学術分野もありますので、そちらの分野の研究も知りたいですね。

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