授業に対する質問・コメントQeustion and Comments
第3回授業3rd
C. 今回の講義の後、ベラルーシがライアンエアー4878便を強制着陸させた事件(2021年5月23日)について報道等を見てみた。
・ウィキペディア日本語版「ライアンエアー4978便」(https://w.wiki/3RyR)
・BBC日本語「【解説】戦闘機に航路変更を迫られたら、旅客機はどうすればいいのか」(https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-57236818)
・フランス24 ”How Belarus’s 'aviation piracy' broke international law” (https://www.france24.com/en/europe/20210524-how-belarus-s-aviation-piracy-broke-international-law)
その結果、今回の講義で扱われた内容と関係する論点や注目点が色々と浮上し興味深い。
例えば、ベラルーシは、シカゴ条約締約国ではあるが、同条約と同時に採択された国際航空業務通過協定(二つの自由の協定)に加盟しておらず、そもそも領空通過の自由を認めていない立場である。この場合、排他的管轄権を有するベラルーシが空軍機による要撃及び着陸強制を行うこと自体は、国際法上合法となり得るのだろうか。
また、講義ではシカゴ条約による航空機の登録(国籍)制度を学んだ。本件では、ライアンエアー機の登録先であるポーランドの検察当局が実際に事件捜査を行なっており、航空国際法上の管轄権の問題が垣間見える。
A. 第2回および第3回の講義内容から、実際の事件へと知見を深め共有してくださりありがとうございます!ベラルーシは1945年に国連加盟国なった国です。同協定ができた1944年の時点でも(旧ソ連構成国ではあるものの)自国の判断として批准しなかったのでしょうね。第1、第2の空の自由は同協定への批准により、多くの国が認めているため、逆に未批准の国があると知り私も驚きました。本件では、第1の空の自由がどこまで(すでに?)慣習国際法化しているか?という観点から判断が必要ですが・・・フランス24の記事で締めくくられているように「果たしてICJの判決が出たとしてもベラルーシがそれを受け入れない時、どのような実行手段があるのか・・」というところが国際(航空)法の直面している課題です。また、管轄権の内容については詳しく第4回の講義でお話します!
Q.「国の航空機」の概念に関して、自衛隊を除く国家機関 (海上保安庁など)の扱いが国内法と国際法で異なることを理解できました。
そのほか、民間航空機におけるドア開閉状態が法的に重要である点を特に興味深いと感じました。
「武器の使用」禁止の枠内で、サイバー手段による強制着陸といった方法を正当化できる可能性はあるのか気になりました。結局、航空機の安全を害する行為に該当するようにも思われますが、どのように整理されているのでしょうか。
また、(民間) 航空機に対する要撃は、必ずしも有人の航空機による必要は無いのでしょうか (例えば無操縦者航空機による要撃、あるいは地上からのみの警告・威嚇)。
A. ご質問ありがとうございます!サイバー手段は条約上の「武器」の定義には入っていませんが、確かにコンピュータで制御される航空機(および空港や航空サービス)の運用は常にサイバー脅威に晒されているのは確かです。ICAOでもサイバー脅威に対する航空安全保障をシカゴ条約第7付属書"Aviation Security"で扱っています。こちらのICAO資料もご参照ください。
Q. 日本国政府専用機は、航空自衛隊に運用を委託し、乗員も航空自衛官であることから、国際法上は軍用機として扱われるとありましたが、航空機は民間航空機ありながら、乗員は航空自衛官という認識でよろしいでしょうか?なぜでしょうか?
A. すみません、ご質問の意図がよく分かっておらず・・。シカゴ条約では「目的」によって民間航空機か国の航空機かに分かれます。例えば、大統領であっても私的な観光目的で航空機に搭乗した場合には民間航空機になります。一方で、戦地に貨物を輸送するのに民間航空機を用いた場合、それは軍用機とみなされます。理論をそのまま現実に応用することは難しいですが、原則をまずは押さえておいてください。
C. 救難における連携とか、事項調査とか今までにまったく知らなかった知識を得ろ事が出来て面白く聞かせて頂いております。
A. 良かったです!コメントありがとうございます!
Q. 無人航空機が領空侵犯した場合も、シカゴ条約第3の2が適用されるのでしょうか?無人機と有人機では、攻撃対象としての解釈(無人機なら撃ち落としてもいいとなりそう,,,)が大きく変わりそうなので、そのあたりの違いを知りたいです。今後、無人航空機が発展して、民生品としても国をまたいだ行き来が活発化するとすれば、法整備は必須ですし、とても気になる分野です。また可能であれば、条約の制定時の多国間のせめぎあいや、大国の思惑など、裏話的なものも教えていただけると嬉しいです。
A. 無人航空機がまだ実際に「国際」「航空業務(サービス)」に使用されていないですが、今後必要な検討事項ですね!法整備は必須ですが、ICAOはいつも加盟国間の法的整合性の確保に苦心しています。条約制定時のせめぎあいは、ある程度、条約の起草過程から読み取れますが実際の話は・・講義でご説明しますね。
Q. 航空機の救難について,シカゴ条約等では,公海上で航空機事故が発生し所在不明の場合,当該機に対する捜索は飛行情報区を設定している国及び航空機の登録国が協力して実施するということで正しいでしょうか。
A. ご質問ありがとうございます。シカゴ条約では第25条および第12付属書で締約国の義務とされているのですが、第25条の最後の一文が講義資料から抜けていました。すみません。続きとして「各締約国は、行方不明の航空機の捜索に従事する場合には、この条約に基づいて随時勧告される共同措置に協力する」とあり、具体的な対応措置は規定されていません。一方、救難に関しては1938年「海上における航空機の、又は航空機による救難又は救助についてのある規則の統一に関する条約」(ブリュッセル条約)があります。しかし第2次世界大戦が勃発したことから未発効となりました(こちらをご参照ください)。公海で行方不明となった航空機は海難救助としてシカゴ条約のほか、国連海洋法条約も適用されます。
第4回授業4th
Q. 着陸した航空機内での犯罪等に関する管轄権が登録国と領域国のどちらにあるのかについて、スライド15ではドア開閉の時点で変わるとの説明でしたが、東京条約5条2項がその根拠ということでよろしいでしょうか。
A. 該当スライドは14頁でしょうか?第5条2項は条文における「飛行中」の定義を示し、実質的に第1条3項を補足するものですから、ご指摘のとおりです。ご共有ありがとうございます。
C. コロナ禍のころ、我が国航空会社の機内でマスク着用要請を拒否した後、機内で大声で騒ぐなどした乗客に対して、安全阻害行為であるとして客室乗務員が機長からの警告書を交付し、最終的には同乗客に対して強制的な降機を命じたという事件が報じられました。今回、東京条約の条文を見たところ、その3章において、安全阻害行為者に対する拘束等を含む「機長の権限」が具体的に明記されていることを初めて知り驚きました。◆関連記事(https://president.jp/articles/-/40289?page=1&title=president.jp)
A. そんなこともありましたね・・。飛行中、機内は閉鎖空間となりますから、複数の乗客のパニックを引き起こす事態は安全性確保の観点からまず避けなくてはなりません。事態の集中を迅速に行うため、東京条約から機長には犯罪への対応において大きな権限が与えられるようになりました。
C. 論文構成のアドバイスがとても参考になりました。今後も可能であれば続編などをご教授いただければ幸甚です。
A. ありがとうございます!脚注番号を統一させるワード機能など次回ご紹介しますね。
Q. 登録国でない締約国が航空機へ干渉する権能について、英語原文と日本語訳で異なっている点は特に興味深いと感じました。原文の「しかできない」の場合と日本語訳の「ができる」の場合で、どのような法的効果の差異が生じうるのでしょうか。
A. 原文では「may not」と「(次の場合は)除いて(excepting)」と二重の否定が続くため、逆に「〜ならできる」と訳したようです。なお、公定訳の訳語でも、翻訳された方の意図が含まれているものがあります。例えば信頼醸成(confidence-building)という言葉が国際法ではありますが、私でしたら「信頼構築」と訳したかもしれません。条約を調べる際は必ず原文を確認してみましょう!
Q. 国家間で既に拘束された犯罪者の移送する際に民間旅客機に便乗することがあるイメージを持っています。この際に管轄権の問題はどのように処理されるのでしょうか。(航空法ではなく二国間条約等で特別の規定を設けるものなのかもしれませんが)
A. ご質問ありがとうございます。犯罪者の移送に関しては、すでに裁判権が行使された事後的な対応ですね。すでに犯罪は終わっておりますので、あとは二国間の取決めにより移送されますが、航空機内でどのような席があてがわれ、一般人と距離を置かれるのかな、着陸したら犯罪人の国籍国の警察がどう拘留するのかなどはケースごとに異なるかと思います。もし調べて何かわかったらご共有ください!
Q. 質問事項に関してはドローンや無人航空機による新しい航空犯罪の可能性はありますか?
A. 航空犯罪という観点では、将来的に、国際航空業務に携わるドローンや無人航空機で、機内で人により犯罪が犯される事例であると適用が検討されてくるかと思います。
C. 飛行機の扉が開いた時点でその国の法律の従うというのが面白かったです。
A. 本当ですよね!航空機で移動する際、管轄権を意識すると面白いですよ!なぜ空港内や機内では免税品を売っているのか・・などなど。
