授業に対する質問・コメントQeustion and Comments

第5回授業5th

Q. 宇宙条約の国際協力原則について、有害な干渉を及ぼすおそれがある場合、事前に国際的協議を行うとあります。この国際的協議とは具体的にはどのようなものなのでしょうか。

A. ご質問ありがとうございます。国と国との間の協議とのことですが、実際にどのような協議とするかはそれぞれ国の裁量で決めることができます。外交ルートを使うと一般に理解されますが、外務省など関連省庁を通じてなのか宇宙局を通じてなのか、ケースバイケースとなります。なお、第9条における「有害な干渉」は、周波数など電波への干渉(混信)に限るわけではなく、宇宙活動に対する支障といった意味合いになります。

Q. 宇宙条約の国家責任について、登録国の登録物体がデブリとして他国の領土内(地表・海上)に落下した場合、登録国は場合によっては漁業への影響に関し賠償責任を負う可能性があるという理解で正しいのでしょうか.

A. はい!漁業への影響ですが、宇宙物体の落下と金銭的な損失との因果関係が明白な場合、賠償責任を追う可能性はあります。

C. 宇宙技術の特質として、その多くが「軍民両用」(Dual Use)であることを理解することの重要性を改めて認識した(ちなみに、宇宙打上げロケットと弾道ミサイルを技術的に区別できないという点に関して、ロシア語では双方とも「ラケータ」(Rakyeta)と呼んでおり、そもそも単語からして区別不能である)。
 関連して、2015年頃からGEOにおいてランデブー・近傍オペレーション(RPO)が確認されているという問題にとても関心を持った。RPOは「敵対的」ないし「軍事的」利用としては対衛星兵器(キラー衛星)の活動となるだろうし、商用利用としては、たとえば日本の「アストロスケール」社が事業化しようとしているようなスペースデブリ除去(※)を実現するための中核技術ともされており、その両者を区別することは容易ではないのかもしれない。RPOが宇宙法(ハードロー、ソフトロー)でどのように位置付けられているのか(いないのか)、今後学んでいきたい。
          ※ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000067481.html

A. コメントをありがとうございます。本当ですね!デュアルユース技術を扱う(国家)活動は、国際機関や関連国に情報を公開せずに進めていくと軍事活動をしているのではという懸念を生じさせてしまいます。日本はRPO技術をビジネスとして展開する国として、宇宙活動(宇宙ビジネスを含め)に関する情報を発信・共有することで透明性・信頼醸成に務めています。国連COPUOSは、このように宇宙活動国は最新のプロジェクト計画や成果を発表し、情報共有の場となっています。

Q. 赤道上の静止軌道が限られた資源であるとともに、先着順でスポットを確保し続ける先行国有利な状況から、宇宙もあくまで国家からなる国際社会の延長線上であることを感じました。宇宙技術が本来的に汎用技術(デュアルユース)であるにもかかわらず(だからこそ?)、機能ではなく主体によって民生・商業・軍事が区分されている点が特に興味深いように思いました。COPUOSとジュネーブ軍縮会議どちらで扱うかという区分けも、主体によるという理解でよいのでしょうか。

A. はい!ただ、この区分が学術的に確立されたものではなく・・学術分野によって区分がことなるかと思います。少なくとも、宇宙活動に関してはその理解で大丈夫です。

Q. 1960年代はアメリカとソ連の宇宙開発競争が白熱していたのですね。 質問ですが、アメリカとソ連両国はなぜ宇宙空間の平和利用を約束する条約に合意できたのでしょうか?

A. ご質問ありがとうございます。中村仁威著『宇宙法の形成』(信山社、2023年)によれば、「規範を形成するアクター(国家)の利益調整が図られたから」と言えます。まだ当時は、人工衛星で撮影した写真も戦略に使えるほどの高解像ではなく、測位衛星もありませんでした。宇宙物体を打上げるだけで国威発揚が可能な時代でしたので、実践的な軍事活動を想定できていなかった点も理由に挙げられるかと思います。多角的に検討できるご質問ですので、何か見つかりましたらぜひお教えください!

C. 1967年の宇宙条約の起草背景についての感想ですが、これは冷戦期の緊張感の中で、人類が新たに開発しようとしていた宇宙空間をいかに平和的に利用するかという国際的な知恵とバランス感覚の表れであると感じました。

A. ありがとうございます。当時は1959年南極条約の締結により、南極の非軍事化・非核化に成功した勢いがあったのかもしれませんね。

C. これからますます進化していく宇宙条約に関する興味深いお話が聞けました。近年の宇宙開発は民間企業が主導するようになり、『宇宙空間の平和利用』の責任が必ずしも国家だけに属するとは限らなくなっているように思います。こうした現状を踏まえると、企業による活動を規制する新たな枠組みや、企業が国家と同じく『平和利用原則』を遵守するための具体的な指針が必要になるのではないかと感じました。

A. コメントをありがとうございます。本当ですね!民間企業に国際義務を履行させるにはどうすればよいか・・まさに国連でも検討されている課題です。宇宙空間の平和利用原則は・・・大量破壊兵器のみが禁止されており、しかも平和利用の「平和」の定義が「非侵略的」が一般的な解釈となっているため、どちらかというと第9条にある「妥当な考慮」の概念整理の研究が進んでいます。

第6回授業6th

Q. 宇宙空間における損害賠償の考え方に対する理解を深めることができました。将来的に月や小惑星の資源採掘活動が増えた場合、採掘過程での事故や環境破壊に伴う損害についても、宇宙損害責任条約の枠組みで処理されることになるのでしょうか?それとも新たな国際条約が必要となるのでしょうか?

A. ご質問ありがとうございます。「地表以外の損害」につきましては「過失の程度に応じて」となっていますので、宇宙損害責任条約では対応しきれず、一般国際法の国家責任の文脈に落とし込んで対応します。しかし、損害の規模や賠償額の算定には、当該国だけでは対応しきれないことも想定できますので、現在、宇宙資源に関する法原則案が国連COPUOSの宇宙資源WGで議論されているところです。早くできると良いのですが・・。宇宙資源の講義の回で詳しくご紹介しますね!

Q. 宇宙損害責任条約で被害国が損害賠償を請求するにはどのような手続きを踏む必要がありますでしょうか?

A. ご質問ありがとうございます!手続き(流れ)に関しましては第7回の講義でご説明しますね。どうぞ宜しくお願い申し上げます!

C&Q. ASAT実験そのものに対する強制力を有した国際合意がなかったり、賠償責任に関する規定がこれまで明示的に適用された事例がなかったりする点が特に興味深いと感じました。また、紹介いただいたSecure World Foundation のような組織が国際的な影響力を持っていることも面白かったです。 宇宙法とはやや違う分野になるのかもしれませんが、ASATによる他国衛星の破壊を武力攻撃とみなして自衛権を発動できる可能性はあるのでしょうか。管轄権にとどまる宇宙物体への攻撃のみで、主権の及ぶ地表等の「領域」に対する被害が発生し得ない場合は、武力攻撃とみなすことは難しいのではないかという見解を他の授業で伺い、気になりました。(他方、防衛相によって衛星破壊に対しても集団的自衛権の発動があり得るという見方が示されたこともあるようです。 (https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51064430W9A011C1000000/)

A. コメントおよびご指摘ありがとうございます。1990年代のジュネーブ会議で作成された報告書では、宇宙空間における自衛権を否定する見解が示されましたが、宇宙条約第3条において「国連憲章を含む国際法」が宇宙活動に適用されるとありますので・・一概に言えません。一度、米国が「自国の宇宙システムへの干渉は米国の主権侵害と見做す」と国家宇宙政策で発表したことがありますが、国際的に批判されました。自衛目的で宇宙兵器を配備するのではと国際社会に懸念を生じさせたからです。このように、法的には自衛権を否定する根拠がないのですが、実際には、宇宙空間における自衛権行使(武力行使)により無数の宇宙デブリが発生するとしたら・・他の国の宇宙活動を阻害することになります。そうなると宇宙条約第1条および第9条違反となり・・。また、その衛星が測位衛星など重要な社会インフラである場合、陸・空・海における甚大な被害を生じさせた場合には・・自衛権発動要件を満たす可能性も否定できません。まさにケースバイケースの問題かと思います。

C. セキュアワールド財団についてご教授いただき、ありがとうございました。まだ一部しか閲覧していませんが、余りの充実ぶりに驚きました。「対宇宙能力報告書」2024年版については、日本語版も用意されていました。全てオープンソースだと銘打っている姿勢も興味深いです。今後も、有益な情報源があればご紹介いただけますと嬉しいです。

A. コメントおよびリクエストを頂きありがとうございます。学術的な論文でも第3者が確認できる情報源しか採用できませんので、SWFの報告書は論文でも引用できますよ!また他の情報源につきましても適宜ご紹介しますね。

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