授業に対する質問・コメントQeustion and Comments

第3回授業3rd

Question / Comments Answer

Q. スライドに、捜索救難区と飛行情報区は、
捜索及び救難業務を開始するはじめの段階においては
同一であることが望ましい、とあります。その理由と、
時間が経過すれば同一でなくても差し支えないのか、
という点についてお伺いしたいです。
私の調べた範囲ですと、
【捜索救難区】:各国が航空機の捜索救難業務の
責任を負う区域としてICAOで決定される。
我が国が責任を負う
区域は東京捜索救難区(TOKYO SRR)であり、
東京FIR及び那覇FIRの区域と一致する。
【飛行情報区】:航空機の安全で効率のよい
航行を確保するため、各国が責任をもって
航空機への情報提供(航空管制)や
緊急時の捜索救難活動などを行う空域。
国際民間航空機関(ICAO)によって
加盟各国に割り当てられている。
飛行情報区は領空(領海上空)と
公海上空を含んだ空域のうち、
各国の領空に対する主権よりも、
円滑な航空交通を考慮して設定される。

捜索救難区と飛行情報区が一致しない場所とは
どこで、日本でいうこの2つの区域は
何を見れば確認できるのか、
また捜索救難区と飛行情報区が
一致しない場所で事故が発生して、
捜索救難区と飛行情報区が一致する場所で起きた場合と
何が変わるのか、を教えて頂きたいと存じます。

A. いろいろと調べてくださりありがとうございます!これは捜索救難業務が、航空交通業務と密接な関連をもって行われるからです。一致していた方が救難業務の初動が取りやすいですが、一致していないと救難業務に支障が生じるという意味ではありません。ちなみに、飛行情報区とは、飛行情報業務及び警急業務が供されている限定空域のことを指すそうです。(参照元:坂本昭雄『国際航空法論』(1994年、有信堂)134-135頁.)

Q. スライド14枚目の武器の不使用のところで、
領域国の主権が及ぶ条件として、
民航機については「他国に着陸して扉が
開いている状態」となっております。
この点、例えばA国に登録されている航空機が、
B国内の2地点を国内便として運航する場合で
あっても、この条件に則れば、
ドアクローズ〜ドアオープンの間は、
A国の領域主権に服するという理解で
よろしいのでしょうか。

A. はい!他の国内の2地点間であっても、民間航空機が空港に到着し扉が開いてから、出発のために扉が閉まるまでの間は、その空港がある領域国の主権が及びます(参照元: 黒崎将広『防衛実務国際法』(2021年、弘文堂)132-134頁.)。もちろん、事前に航空協定などで詳細事項について関係国間で定めることができます。

Q. 日本の民間船舶を外国の国籍に
登録する場合(会社は日本の会社であるが
船はパキスタンやリビアとして登録)が
かなり多いと見られます。
航空機の場合は外国の国籍を
登録する場合がありますか?
そして、もしあるんであれば、
理由を教えていきたいです。

A. 他国籍の航空会社が有する民間航空機に対し、自国の登録を許す国があるのか、私の方で把握しきれていません。すみません。
ただ、日本を例にお答えしますと、航空法第4条1と2において、日本の国籍を有しない外国人や外国籍の企業には、航空機の登録を認めておりません。そして・・登録ができないとなると、その航空企業は日本から耐空証明書を発行してもらえません。また、機内で起きた犯罪に日本の刑法が適用できません。さらに、特別な許可がなければ日本国内2地点を飛行できません。。。となり、やはり登録は重要なのですが、いろいろな事例があるかと思います。何か新たな情報が見つかりましたらぜひご共有ください!
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第4回授業4th

Question / Comments Answer

Q. 国内における航空事故において、
自衛隊機単独の事故の場合には、国土交通省の
運輸安全委員会の所管ではない一方、
運輸安全委員会のページに行くと、自衛隊機と
民航機のニアミス(重大インシデント)については
運輸安全委員会の調査の対象となっていると
認識しています。
この点、同様に民航機と軍用機の
両者による事故が発生した場合、
シカゴ条約第26条に基づく権利義務は
どのようになるのでしょうか。
例えば、当該軍用機を運航する
国は立ち合いの権利を認められるのでしょうか。

A.ご質問ありがとうございます。民航機と軍用機(例:自衛隊機)の両者による事故ですね。運輸安全委員会は、航空事故が自衛隊の使用する航空機について発生した時は、その権限を行使することができません。しかし、自衛隊機が、他の航空機と衝突または接触したことにより事故を起こしたときは、同委員会は、他の航空機の事故について権限をもつ限り、その航空事故について調査権限を有する(自衛隊法第107条第7項)とのことです。詳しくは坂本昭雄『国際航空法論』(有信堂、1992年)141-142をご参照ください。その前後の頁もいろいろと詳しく説明が載っています。

C. 論文の書き方、特に仏スタイルは
初めて知ったので非常に参考になりました。
先生の博士論文の例を見ると、
非常に綺麗な形で仏スタイルに
当てはまっている ので、自分の論文でもどうすれば
綺麗に当てはめられるか考えたいと思います。
(映えを意識することは大事だと思いました。)

A.少しでもお役に立てて嬉しいです!コメントありがとうございます。スポーツでもそうですが、「型」が分かれば、あとは応用へ、という早道にもなりますので、論文を読まれる際も型につきまして意識されると、面白いかと思います。

Q. スライドの5ページ、
航空事故B調査の国際管轄権、
第26条関係で、事故発生国は、その事故の調査を
開始しなければならなく、
事故調査を実施する責任が課されるが、
その調査の一部又は全部を、
事故機の登録国又は運航国に委託できる、
という解説があります。船ですと、登録料を安くしたり、
登録基準を著しく低くして登録しやすくする
便宜置籍船のような問題があり、
我が国においてもホルムズ海峡において
日本の便宜置籍船が謎の攻撃を受けた問題が
あるかと思います
(2019年6月の事件をさしております)。
少なくとも私が調べた限り、
便宜置籍航空機なるものは
存在しないようですし、便宜置籍船のように、
攻撃を受けた際にしかるべき国が自衛権を行使できず、
また船の旗国が調査能力や自衛権を
行使する能力を持たないというような問題は
航空機には起こっていないようです。
起こっていないとすれば、海には起こっている問題が
空で起こらないのはなぜでしょうか。
(もし航空機においても2019年6月の
ホルムズ海峡タンカー攻撃事件のような事件
があったら申し訳ありません。)
質問というが不思議に思いましたので
書かせて頂きました。

A. ご質問ありがとうございます。海ではあって空にない・・。面白い視点ですね。いろいろな回答があり得るかと思いますが、一つは、航空機に対しては飛行情報区(FIR)や防空識別圏(ADIZ)の設置、スクランブル発動など、領空侵犯を防ぐにあたり国の体制が整っている点があげられるかと思います。
便宜置籍船とは異なりますが、2014年にウクライナ上空でマレーシア航空機撃墜事件(298人が死亡/3分の2がオランダ人)が起こっており、その犯人はしばらく確定しておりませんでした。2019年11月15日に国際合同捜査チームJITが発表した内容によれば、ウクライナ東部の分離派指導者がロシア政府の指示で撃墜したとの調査報告がなされています。いまのウクライナ侵攻はこの頃から始まっていたのですね・・。
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